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契約書のレビューポイント!受託者は第三者の権利を侵害しないことを保証すべき?

契約書のレビューポイント!受託者は第三者の権利を侵害しないことを保証すべき?
目次

ロゴマークやWebサイトやLPのデザイン系の業務を受託した場合、業務遂行の過程や成果物が第三者の著作権などの知的財産権を侵害しないように気を付ける必要があります。

発注者としては、納品物を自社でチェックする作業を省略したいこと、納品後に第三者の知的財産権の侵害が発覚し納品物が使用できなくなる状況を避けたいところです。

そこで、契約書において、受託者側に対して第三者の知的財産権を侵害しないことを保証させる条文が記載されることがあります。

≪第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する条文≫

第●条(第三者の権利の侵害)

受託者は委託者に対し、本件業務の遂行及び本件業務の遂行に基づく成果物が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する。

一方で、受託者としては、第三者の知的財産権を侵害していないことに対する調査を行っても、確定的な非侵害の判断が難しいケースもあることからその非侵害の保証は行いたくないと考えるのが通常です。自社内い知的財産権に関して専門的な知識を有している従業員がいない場合には、弁護士や弁理士等の外部の専門家に頼まざるを得ず、そのコストが余分にかかるという問題もあります。

そこで、受託者としては非侵害を保証しない条文を記載することがあります。

≪第三者の知的財産権を侵害しないことを保証しない条文≫

第●条(第三者の権利の侵害)

受託者は委託者に対し、本件業務の遂行及び本件業務の遂行に基づく成果物が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証しない。

委託者として受託者側の事情に配慮し一定程度妥協することも考えられます。

もっとも、保証しないにせよ、少なくとも可能な範囲では調査程度はして欲しいと考えるのも自然なところです。

そこで、下記の様に一定の限定を付したり、義務自体を努力義務にすることも考えられます。

≪第三者の知的財産権を侵害しないことを一定の範囲に限り保証する条文≫

第●条(第三者の権利の侵害)

受託者は委託者に対し、受託者の[知る限り/知り得る限り]本件業務の遂行及び本件業務の遂行に基づく成果物が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する。

≪第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する努力義務を負う条文≫

第●条(第三者の権利の侵害)

受託者は委託者に対し、本件業務の遂行及び本件業務の遂行に基づく成果物が第三者の知的財産権を侵害しないよう努めるものとする。

TECH GOAT PARTNERS法律事務所では、委託者・受託者のいずれの立場からも契約書の作成・確認に関するご相談をお受けしております。契約書の作成・確認にお悩みの方はお気軽にご相談ください。