【条項例付】内容証明郵便を活用した債権回収方法

目次

1. 債権回収の手段

債権回収の方法は、大きく分けて裁判外の方法と裁判所の手続を利用した方法に区別されます。

本記事では、裁判外の方法のうち、内容証明郵便を使って支払いを督促する際のポイントについて解説します。

2. 内容証明とは

債権回収を行う際に、「まずは内容証明郵便で督促してみよう」となることが一般的です。

では、「内容証明郵便」とはどんなものでしょうか。

日本郵便株式会社では、内容証明について以下のとおり説明しています。

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

※引用:https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html

簡単に説明すると、「いつ、どのような内容の文章が誰から誰宛てに差し出されたのか」「郵便局が証明」してくれる文書の送付方法です。

≪参考≫

内容証明は、「e内容証明(電子内容証明)」によってインターネット上で24時間送付することが可能になっています。指定の書式の利用しないと適切にアップロードが出来ないので、提供されている雛形を使うようにしましょう。

3. 内容証明のメリット/デメリット

単純に債権回収の督促をするだけであれば普通郵便の方法でも良いように思います。

もっとも、普通郵便・特定郵便・レターパック等では、送付されている文書の内容は客観的に明らかになりません。

そのため、不誠実な債務者によっては「そんな文章は受け取っていない」などとしらを切られてしまった場合に、客観的な証拠をもって反論することができないのが実情です。

このような状況の発生を回避するために内容証明が活用されています。

4. 内容証明に記載する事項

内容証明には一般的には以下の事項を記載する必要があります。


①債権者の情報

債権を有している人の情報を記載しましょう。

(法人)

所在地、商号、代表者名、必要に応じて担当者名、連絡先

(個人事業主)

屋号、個人名、連絡先


②債務者の情報

業務委託料や商品代金を支払っていない人の情報を記載しましょう。


(法人の場合)

所在地、商号、代表者名、必要に応じて担当者名、連絡先

(個人事業主)

屋号、個人名、連絡先


③債権の発生理由

債権が発生している理由を明記しましょう。


・債権の発生年月日

・債権の発生原因の契約

≪記載例≫

「●年●月●日付けの業務委託契約に基づく業務委託料として」

「●年●月●日付けの売買契約に基づく売買代金として」

「●年●月●日付けの消費貸借契約に基づく貸金として」


④債権の金額


金額は明確に記載しましょう。

その際、元本のみなのか、利息や遅延損害金を含むのか、その他実費などを請求するのかといった点は十分に検討しましょう。

利息や遅延損害金の計算ミスや実費の請求漏れなどは特に気を付けましょう。

≪記載例≫

「金●円(元本及び支払日までの遅延損害金を含む)」

「金●円(元本及び支払日までの遅延損害金の合計金●円に加え、実費として金●円)」



支払日が確定できない場合には、元本の金額のみ明記し、「支払日までの遅延損害金を加えてお支払いください」といった形で記載することも可能です。


⑤支払期限

明確に支払期限を設定し、債務者の支払を強く促すと共に、裁判上の手続の利用に移行するタイミングの判断基準としましょう。

≪記載例≫

「・・・金●円を、●年●月●日までにお支払いください。」

⑥支払方法・支払先

いつ、だれからの返済がなされたのか明確にするために銀行振込が望ましいです。

現金手渡しにすると、実際にいつ誰からいくらの金額を受領したのか分からなくなる可能性があります。経理担当者が処理に困ったり、税務調査の際の説明資料としての証憑が不足する可能性があるので注意が必要です。


≪記載例≫

・・・金●円を、以下の銀行口座に振込入金する方法によってお支払いください。なお、振込にかかる手数料は貴社にてご負担ください。

銀行名 ●●銀行

支店名 ●●支店

種別  普通

口座番号 ●●

口座名義 ●●

⑦ 支払わらなかった場合の対応

支払期限までに支払いがなされなかった場合に法的に手続に移行する場合にはその旨を記載しましょう。法的手続に移行することで、双方に対応コストが発生するため、紛争の早期解決のために支払がなされたり、裁判外交渉での和解の機会の創出につながります。

≪記載例≫

本件に関して一切のご連絡をいただけず、お支払い期限までにお支払いが確認できない場合には法的手続を講じることを念のため申し添えます。

5. まとめ

内容証明を活用することで最小限のコストで債権回収の督促を行うことが出来ます。

支払を促すためにも事案に応じた適切な内容証明の文章を作成することが重要になります。

債権回収のご相談をされたい場合には、こちらからお問い合わせください。